セットアップ手順 (CONEXIOBlackBear)

目次


初期セットアップ手順

ドキュメントについて

CONEXIOBlackBear (以下 BlackBear)のご利用方法については、メーカー公式の取扱説明書が公開されております。以下のサイトをご確認ください。
https://conexio-iot.jp/serviceproduct/blackbear.html#download

また、サポートサイトにも情報が公開されておりますので、必要に応じてご利用ください。
https://bb.conexio-iot.jp/support (認証が必要です。IDパスワードは機器付属の資料をご確認ください。)


ここでは、BlackBear で IIJ IoTサービスを利用するための最小限の手順について、記載していきます。

使用機材について

CONEXIOBlackBear Jモデル 屋内用 MS-5776-JC-H Indoor

使用したOS・バージョンなど

OS V1.2.0 (2022年8月時点での最新版)

用意するもの
  • BlackBear 本体 および付属品(ACアダプタ、LTE用外付けアンテナ)
  • Debug Cable (別売りのシリアルケーブル)
  • インターネットに接続できる環境(有線LAN)
  • PC
ハードウェアのセットアップ
  1. BlackBear本体にLTEアンテナを接続します。
  2. BlackBear本体の背面の蓋のネジを外し、SIMスロットにSIMを挿入します。
    また、SIMスロット横のコネクタに Debug Cable を接続します。
  3. Debug Cable の反対側(RS-232Cコネクタ)をPCに接続します。
  4. BlackBear本体に有線LANケーブルを接続します。ACアダプタを接続すると、電源が入ります。
  5. PCからターミナルソフト(TeraTermなど)を起動し、シリアルポート(Debug Cable に接続されているポート)に接続します。
    シリアルポートの通信設定を以下の通りに設定します。

    設定項目

    設定値

    スピード115200
    データ8 bit
    ストップビット1 bit
    パリティなし
    フロー制御なし
  6. ターミナルソフトの画面より、BlackBear のコンソールを操作できます。

OS・ミドルウェアのセットアップ
パスワードの初期設定

BlackBear は、初期状態では root ユーザーのパスワードが設定されていないため、初回ログイン時に設定を行います。

  1. login プロンプトから、ユーザー root ログインします。
  2. ログイン後、パスワード変更が促されますので、画面表示に従ってパスワードを変更します。
セルラー回線の接続の設定

セルラー回線の接続設定は、NetworkManager のコマンド(nmcli) を使用します。

  1. loginプロンプトから、root でログインします。

  2. 以下の通りコマンドを実行します。

    nmcli connection add con-name lte-wwan0 type gsm ifname ttyUSB2 apn <apn_name> user <user_name> password <pass>

    引数は以下のように読み替えます。

    引数

    意味

    備考
    <apn_name>APN名

    使用するSIMによりAPN設定が異なります。
    オンラインヘルプのモバイルアクセス「APN設定」をご参照ください。

    <user_name>APNのユーザ名
    <pass>APNのパスワード

    Connection 'lte-wwan0' (xxxxxxxxxx) successfully added. と表示されれば完了です。

  3. 以下の通りコマンドを実行します。

    ip addr show ppp0

    以下の通り、IPアドレスが取得できていれば、セルラー回線へ接続できている状態です。

    8: ppp0: <POINTOPOINT,MULTICAST,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UNKNOWN group default qlen 1000
        link/ppp
        inet 10.XX.XX.XX/32 scope global noprefixroute ppp0
           valid_lft forever preferred_lft forever
有線LANとセルラー回線(ppp)の両立

デフォルトの設定のままだと、セルラー回線(ppp0)に接続しても、有線LANへの接続が優先されてしまいます。
以下の設定を行うことで、IIJ IoTプラットフォームへの通信はセルラー回線(ppp0)へ、それ以外は有線LANへ、それぞれパケットを送るような静的ルート設定が追加されます。

有線LANを使用しない場合は、この設定は行う必要はありません。


  1. loginプロンプトから、root でログインします。

  2. 以下の通りコマンドを入力します。

    nmcli connection show

    一覧の "NAME" の部分に、インターフェース名が表示されます。以降、各インターフェース(有線LAN、セルラー回線)の操作をする場合はこのインターフェース名を使用します。

  3. 以下の通りコマンド入力し、セルラー回線の静的ルーティングを設定します。

    nmcli connection modify lte-wwan0 ipv4.never-default yes               # IPv4のデフォルトルートを使わない
    nmcli connection modify lte-wwan0 ipv6.never-default yes               # IPv6のデフォルトルートを使わない
    nmcli connection modify lte-wwan0 +ipv4.routes "10.64.2.0/24 0.0.0.0"  # 静的ルート設定
  4. 以下の通りコマンド入力し、有線LAN側のDNSを使用しないように設定します。"Wired connection 1" の部分は 2. で表示された有線LANのインターフェース名を指定します。

    nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv4.ignore-auto-dns yes
    nmcli connection modify "Wired connection 1" ipv6.ignore-auto-dns yes
  5. 以下の通りコマンドを入力し、Network Manager を再起動すると、設定が有効になります。

    systemctl restart NetworkManager

    以下の通り入力し、静的ルート設定を確認します。

    route

    10.64.2.0/24 宛のパケットが ppp0 経由のルートになっていることが確認できます。

    # route
    Kernel IP routing table
    Destination  Gateway      Genmask         Flags Metric Ref Use Iface
    default      192.168.XX.1 0.0.0.0         UG    100    0     0 eth0
    10.64.2.0    *            255.255.255.0   U     0      0     0 ppp0    # この行が追加されている
  6. DNS設定を確認し、10.64.2.xx のDNSしか参照していないことを確認します。

    cat /etc/resolv.conf
  7. パケットが送信されるか確認します。

    ping -c 4 gw.iot.iij.jp   # セルラー回線経由でパケットが送信される
    ping -c 4 www.iij.ad.jp   # 有線LAN経由でパケットが送信される

動作確認

LTE回線が接続されているか確認する

loginプロンプトから、root でログインします。

その後、ターミナルから、以下のコマンドを入力します。

ip addr show ppp0

IPアドレスが表示された場合はLTE回線が接続されている状態です。エラーが表示された場合はLTE回線が接続されていない状態です。

IIJ IoTサービスへの接続を確認する

ターミナルから、以下のコマンドを入力します。

ping -c 4 gw.iot.iij.jp

pingの応答があった場合は、IoTサービスのサーバーに正常に接続できている状態です。エラーが表示された場合は正しく接続できていない状態です。

IIJ IoTサービスにデータ送信をしてみる

ターミナルから、以下のコマンドを入力します。

curl -v -X POST -H 'Content-type: application/json' http://gw.iot.iij.jp/v1 -d '{"name":"test", "value":100}'

200 OK のレスポンスが返ってくれば、データ送信は正常に終了しています。


その他設定

タイムゾーンの設定

BlackBearは、デフォルトではタイムゾーンがUTCに設定されています。必要に応じてJSTに変更してください。

  1. loginプロンプトから、root でログインします。
  2. date コマンドを実行し、UTCの時間が表示されることを確認します。

    date
  3. タイムゾーンをJSTに変更します

    timedatectl set-timezone Asia/Tokyo
  4. date コマンドを実行し、JSTの時間が表示されることを確認します。

    date
パッケージの追加

プリインストールされているパッケージ(コマンド類)に不足がある場合に、以下の手順でパッケージを追加することが可能です。

  1. loginプロンプトから、root でログインします。
  2. 以下コマンドを入力し、ファイルを開きます(新規作成します)。

    vi /etc/apt/sources.list

    以下の内容を入力し、ファイルを保存します。

    deb https://repository.blackbear.conexiot.jp/ms5776/apt blackbear main
  3. 以下コマンドを入力し、GPGキーを取得・登録します。

    curl -O https://repository.blackbear.conexiot.jp/ms5776/apt/download/ConexioBB-key.asc
    apt-key add ConexioBB-key.asc
  4. ここまでを実行することで、apt-get コマンドが利用可能になります。

実際にパッケージを追加してみます。今回は一例として OpenJDK をインストールしてみます。

  1. 以下コマンドを順に入力します。

    apt-get update
    apt-get install openjdk-8
  2. インストールが完了すると、javaのコマンドが利用可能になります。試しに実行してみます。

    java -version

    以下のように表示されれば、インストールは正常に終了しています。

    openjdk version "1.8.0_XXX-internal"
    OpenJDK Runtime Environment (build 1.8.0_XXX-internal-b11)
    OpenJDK Client VM (build 25.XXX-b11, mixed mode)

BlackBear のパッケージ管理機能では、CONEXIO社が提供するリポジトリサーバーのみが利用可能です。そのため、一般的な Linux よりインストール可能なッケージの種類が少ないことにご注意ください。